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引き出しの中は、わたしの世界

#6「万年筆デビュー、してみませんか?」

「引き出し」は好きなもの、こだわりのもの、自分だけのとっておきが詰まった特別なスペース、"自分だけの世界"。

そんな、特別な場所-引き出し-の中に加えたくなるようなとっておきのペンを、様々なテーマから集めてご紹介します。紹介してくれるのは、伊東屋の中でも「ペン好きさん」として有名な、銀座 伊東屋 横浜元町・筆記具売り場のスタッフTさん。

連載6回目となる今回のテーマは「万年筆デビュー」。

万年筆デビュー、してみませんか?

テーマ紹介

ink:パイロット「ブルーブラック」

皆さんは万年筆にどのようなイメージをお持ちですか?
普段使われない方の中には「字が綺麗じゃないから」「上手な文章を書けないから」と、なかなか手を伸ばせない方もいらっしゃるかもしれません。

決してそんなことはなくて、ボールペンと同じような感覚で万年筆を日常的に使う方もたくさんいます。使うときのポイントを知っていれば何も難しくないですし、万年筆で文字を書くって楽しいですよ。

新年を迎え、何か新しいことに挑戦したくなる季節ではないでしょうか。これを機に万年筆デビューをしてみませんか。

今回は万年筆の魅力や違い、使い方などをお話ししながら、初心者の方にもおすすめの万年筆をご紹介していきます。

万年筆の魅力とは

個人的に万年筆の最大の魅力とは、万年筆で書いた文字にあると思っています。
万年筆で書いた文字ってどこか温かみがあって味が出ますし、より丁寧な印象にもなります。ボールペンで書くのとはやはり違うんですよね。お礼状はもちろん、仕事で誰かに書類を渡す際に添えるメモも、万年筆で書いてあるときちんとした方だな、という印象を受けます。

メモに書いたもの

字の上手い下手ではないのです。その人らしさが出せて、文字に想いを乗せられるのが万年筆なのです。

魅力はまだまだたくさん。力を入れなくてもするするとインクが出てくるのでとても楽に筆記できたり、インクもたくさんの色から選べたり。丁寧に書く習慣がつく+字が綺麗になる(万年筆に慣れると余計な力が抜ける)とも言われています。

そして単純に、素敵ですよね。万年筆って格好良いです。持っているだけで気分が良くなる、そんな筆記具でもあると思います。
ペンの全体像とペン先の画像、インクも?

万年筆の種類、何が違うの?

万年筆にとってペン先はとても重要です。ペン先の素材や大きさによって書き味も、価格も変わってきます。ペン先の素材は主に「ステンレス製」「金製」の2種類に分かれます(例外もありますが基本はこの2つ)。今回はこの2種類のペン先別におすすめの万年筆を紹介しながら、万年筆の基本的な使い方や選び方をお話しします。

1.ステンレス製ペン先の万年筆


まずご紹介するのはステンレス製ペン先の万年筆です。
ステンレス製のペン先は硬めで、比較的ボールペンに近い感覚で書けるので初心者の方や筆圧が強い方にも扱いやすいです。数千円から数万円と価格にも幅があるので、様々なものから選びやすいのも嬉しいですね。

おすすめ万年筆①
「カヴェコ スポーツ 限定メローブルー万年筆」



以前にもカヴェコスポーツシリーズの万年筆をご紹介しましたが、このメローブルーは限定色です。個人的に手ごろな価格で購入しやすいカジュアルラインの万年筆(以下、カジュアル万年筆)の中でこのシリーズが一番おすすめです。


◆インクの乾きは大敵

自分でも使ってみて思うのが、このシリーズは他のカジュアル万年筆と比べてペン先のインクが乾きにくいです。

え?万年筆ってインクがそんなに早く乾くの?と思われた方。乾きます。インクは水分ですから。その分書き心地がとてもなめらかです。力を入れなくてもするするーっと書けます。

また、乾いてしまっても大丈夫です。万年筆の困りごとあるあるだと思うのですが、インクがまだ残っているのにインクがかすれたり、出なくなることがあります。これは、ほとんどの場合はペン先が乾燥しているだけなので、ペン先をお水に浸せばまた元通り書くことができます。
このときにインクが出ないからと、必要以上の力で紙に押し付けてがりがり書いてしまったりすると、ペン先が開いて本格的に修理が必要になってしまうのでご注意ください。

◆字幅を知れば使い方色々

さらに、このメローブルーならば字幅(字の線幅)もEF(=Extra Fine、極細字)・F(=Fine、細字)・M(=Medium、中字)・B(=Broad、太字)・BB(=Broad Broad、極太字)と豊富に選べるのも嬉しいところ。

画像でEF~BBの筆記見本を写す

万年筆はボールペンのように0.7mmとか、1.0mmのような表記はありません。字幅が太くなればなるほど書き心地のなめらかさもアップしますし、インクの濃淡もはっきりするのでより万年筆らしい文字にもなります。ただ太い字幅は、小さな字や漢字などの細かな字がつぶれやすくなるので、使う用途が決まっていなければ細めの字幅を選んでおくと様々な用途に対応しやすくなると思います。

また、モデルによって同じ字幅表記でも線幅が変わることや、同じモデルであっても若干の個体差があるというのが万年筆ということも大事なポイントです。たとえば海外製品と日本製品では、字幅表記が同じでも実際の線幅が異なります。日本製品は漢字を書く想定でつくられているので海外製品よりも線幅が細めなのです。
画像で日本製・海外製比較

このスポーツシリーズは海外製品の中では比較的細めに筆記できるモデルという印象です。(特にEFを使ったときにそう感じます)。見た目も可愛く、色も豊富。ステンレス製ペン先のモデルの中では書き心地にもなめらかさがあるので、万年筆らしさも楽しめます。総合的に見て一番おすすめのカジュアル万年筆なのです。

おすすめ万年筆②
「ウォーターマン エキスパート ブルーフランス万年筆」


もう一つステンレス製ペン先の万年筆でご紹介したいのが、ウォーターマンのエキスパートシリーズ。さきほどのカヴェコスポーツ万年筆のような可愛らしいデザインよりも、高級感がほしいという方におすすめです。


ウォーターマンはフランス・パリのブランドで、デザインも上品で美しく、エレガントな印象です。今の万年筆のしくみをつくった、万年筆の祖ともいわれるブランドです。こちらの「ブルーフランスコレクション」は期間限定生産品。ウォーターマンのブランドカラーであるブルーと、セーヌ川をイメージした彫刻模様が美しい一本です。

柔らかい書き心地が特徴の金製ペン先の万年筆を使ったことがあるけれど、なんだかふわふわして上手く書けなかった、難しかったという方にもエキスパート万年筆がおすすめです。ステンレス製のペン先はしなりが少ないので安定感があり、筆圧が強い方にも扱いやすいですし、軸の太さや重心など、トータル的にとてもバランスの良いペンです。

ちなみに字幅は国産に比べるとやや太めですが、その分なめらかさが楽しめます。

【Fの筆記した画像】



2.金製ペン先の万年筆


つづいては金製のペン先のモデルをご紹介します。
金製ペン先(以下、金ペン)はステンレス製ペン先より書き心地がずっとなめらかになります。柔らかくしなるので、トメハネハライも出しやすく、他の種類のペンでは味わえないような「これぞ万年筆」という本格的な書き心地が楽しめます。

おすすめ万年筆③
「パイロット カスタム74万年筆」


金ペンの定番のエントリーモデルといえばこちら、パイロットの「カスタム74万年筆」です。エントリーモデルといっても品質は抜群で、愛用されている万年筆好きの方も多いシリーズではないでしょうか。

14金製ペン先といっても全てが同じ書き心地ではなく、ペン先の形状で硬め・柔らかめと書き心地が変化します。こちらのカスタム74万年筆は柔らかく、なめらか。金ペンらしい書き心地が楽しめます。


カスタム74シリーズは2022年で誕生30周年を迎えました。その記念で昨年発売された限定セットもございます。

こちらは気分によって好きな胴軸カラーにカスタマイズができるセットです。字幅はF(細字)・FM(中細字)・M(中字)・S(シグネチャー)から選べます。FMはFとMの中間サイズ。Sはパイロット独自のサイン用に作られたペン先です。字幅が太くぬらぬらと書けますし、インクの濃淡も美しく出ます。


おすすめ万年筆④
「プラチナ万年筆 センチュリー ニース万年筆」


万年筆って実はお手入れが必要です。そこで足踏みしてしまう方もいらっしゃるかもしれません。そんな方におすすめなのがこちら、プラチナ万年筆の「センチュリー ニース万年筆」です。キャップさえきちんと締めておけば、2年間インクが乾かないという特別な万年筆です。


私も色違いを使っておりますが、本当に乾きに強いです。しばらく使っていなくて、久しぶりに書いてみてもインクが出てくれるので、複数本の万年筆を同時に使っている万年筆好きの方も重宝する一本だと思います。

ペン先は14金製ですが、そこまで柔らかくしなるペン先ではないので初心者の方、筆圧が強い方にも扱いやすいです。さらに、ペン先に安定感がある分、速記にも向いています。初心者の方だけではなく、万年筆を使い慣れていて、さらさらさらーっとスピード感を持って書く方にも、とても使いやすい万年筆だと思います。

このニース万年筆はインクの色が見えたり、残量が分かりやすい無色透明のボディで、ローズゴールドの金具がエレガントな印象にしてくれます。ペン先のハート穴が今もハート型なのもクラシカルで可愛いポイントです。今は他社も含めほとんどのモデルが丸型で、ハート穴がないモデルもあります。


◆万年筆インクの選び方

万年筆インクにはカセットのようになっている「カートリッジインク」と、瓶に入った「ボトルインク」の2種類があります。どちらかを選んで使用することができます。

カートリッジとボトルインク画像

カートリッジはかちっと差し込むだけなので、使い方もインク交換するときも簡単です。ボトルインクは色数が多いのと、万年筆専用のインク吸入器「コンバーター」を使ってペン先からインクを吸い上げて使用する万年筆ならではのクラシック感が楽しめます。

また、カートリッジとコンバーターどちらにも対応した万年筆は「両用式」と呼ばれることがあります。今回ご紹介した万年筆は全て両用式です。

※カヴェコスポーツ万年筆・パイロットカスタム74万年筆はコンバーターが別売です。購入時にカートリッジインクやコンバーターが付属しているかは、メーカーや商品によって異なります。

それぞれの使い方はこちら。

カートリッジインクを使う場合



ボトルインク(ネジ式コンバーター)を使う場合
※今回ご紹介した「カヴェコスポーツ万年筆」「カスタム74万年筆」は、コンバーターが特殊なタイプです。これらのコンバーターの使い方は、下記のページをご覧ください。
>「特殊タイプの万年筆コンバーターの使い方」はこちら

◆万年筆のお手入れ(洗浄方法)

最後に万年筆の洗い方について。

必須で洗うタイミングは、
1. インクの色を変えたいとき
万年筆インクはインクごとに成分が異なるため、違う色が混ざると化学反応でインクが固まったり、ペン先に悪影響が出る可能性があります。つまり、インク色を変える度に洗浄が必要です。

2. 1ヶ月以上使わないとき
万年筆で一番よくあるトラブルパターンを回避できます。インクを入れたまま何ヶ月も放置すると、インクが固まり、インクの通り道が詰まります。そうすると新しいインクを入れても、固まったインクが邪魔をしてインクが出なくなってしまいます。

ではどのように洗うのか。水に浸せばよいのです。

カートリッジインクを使う場合


コンバーターを使う場合


いかがでしたか?
お手入れが必要だったり、ボールペンに比べると何かと手がかかるのですが、慣れると簡単ですし、手をかけることが逆に楽しかったり、ペンへの愛着もさらに増したり…。他のペンにはない魅力がたくさん詰まっているのが万年筆なのです。

使い方に困ったらお店にもご相談くださいね。
  • クラシックスポーツ万年筆 ボルドー

    カヴェコ

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  • クラシックスポーツ万年筆 グリーン

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    ¥22,000(税込)

  • カスタム 74 万年筆 ダークブルー

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    ¥22,000(税込)

  • カスタム 74 万年筆 ディープレッド

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  • 【数量限定】色彩雫4色セット

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    ¥440(税込)

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  • 万年筆 センチュリーニース ロゼ

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    ¥30,800(税込)

  • センチュリー ニース ラヴァンド万年筆

    プラチナ

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    ¥30,800(税込)

  • カートリッジインク

    プラチナ

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    ¥110(税込)

  • カートリッジインク

    プラチナ

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    ¥440(税込)

  • ボトルインク(インクリザーバー付き)

    プラチナ

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    ¥1,650(税込)

  • エキスパートDX 万年筆 ブルーCT メイドインフランスコレクション F(細字)

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  • ボトルインク

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    ¥1,650(税込)

  • カ-トリッジ スタンダ-ド23

    ウォーターマン

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    ¥990(税込)