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引き出しの中は、わたしの世界
「雨の日は万年筆を楽しむ」

「引き出し」は好きなもの、こだわりのもの、自分だけのとっておきが詰まった特別なスペース、"自分だけの世界"。

そんな、特別な場所-引き出し-の中に加えたくなるようなとっておきのペンを、様々なテーマから集めてご紹介します。紹介してくれるのは、伊東屋の中でも「ペン好きさん」として有名な、銀座 伊東屋 横浜元町・筆記具売り場のスタッフTさん。

連載4回目となる今回のテーマは、「雨の日」の万年筆の楽しみ方です。

雨の日は万年筆を楽しむ

テーマ紹介

ink:セーラー万年筆「四季織 雨音インク しとしと」

雨の日に窓を伝う雫を眺めているととても美しく、ずっと眺めていたくなります。
雨の降るサーっという音も耳に心地よく、少し肌寒さもあるからか室内にいるとホッとするような居心地の良さを感じたりします。

そんな時、私は何故か "文房具の気分" になります。
雨の日には雨の日の雰囲気があり、いつもと違うものに目が留まったり、いつもより素敵に見えたり…
それが楽しくてお店に行って何か素敵なものを探したくなるのです。

お店に行けない時は文房具雑誌を読んだり、オンラインストアを覗いたり、手持ちのお気に入りの文房具を眺めたり…。

窓の外を眺め雨音を聴きながら家の中で手紙や日記を書くのもまた贅沢な時間で、綺麗な色のインクを入れた万年筆で文字を書くと心も落ち着き、晴れやかな気持ちになってゆきます。

今回は雨の日だからこそ出会っていただきたい、使っていただきたい万年筆をご紹介します。

四季の雨の美しさとしっとり感を表現
セーラー万年筆 「四季織シリーズ 雨音」



近年カラフルで綺麗な軸色のペンがぐっと増えたセーラー万年筆。

特に人気なシリーズ“四季織”には、四季の雨をモチーフにした「雨音」という万年筆があり、それぞれ「春雨(はるさめ)」「翠雨(すいう)」「霧雨(きりさめ)」「凍雨(とうう)」と、春夏秋冬をイメージした雨の名前がつけられています。


デザインに注目すると、しっとり感のあるマット軸とラメが入った透明色の天冠・尻軸のパーツとのグラデーションが美しく、ゴールドのクリップがぐっと高級感を持たせてくれています。

可愛らしいのに大人感もあるのが良いですよね。一緒に働いている元町スタッフからもよく“欲しい”の声を聞きます。

ペン先は21金ですが小ぶりなペン先なので、小回りも利きますし、柔らかすぎず少しスピード感を持って書きたい方にも使いやすいと思います。

セーラーのペン先はブランドマークの碇のマークが刻印されており、「万年筆らしくて格好良い!」とこのデザインが決め手になることもあるほど人気ですが、雨音シリーズはゴールドとシルバーの染め分けになっているところもポイントです。
(※メーカー仕様変更により、現在在庫しているお品物によってペン先のデザインが異なるものがございます。オンラインストアではペン先のデザインはお選びいただけません。予めご了承ください。)

最近ではおそろいの万年筆インクまで登場しました。


春の「しとしと」
夏の「ざあざあ」
秋の「ぽつぽつ」
冬の「はらはら」
と、雨を連想する擬音語が色の名前になっています。
万年筆とインクで季節を合わせてセットで使うこともできますし、個人的には、「翠雨」と「しとしと」の組み合わせが好きで、自由に組み合わせて選ぶのも楽しいです。

キラキラ輝く爽やかな色を散りばめた
エスターブルック 「エスティ シーグラス」



雨の季節には綺麗な色のペンに綺麗な色のインクを入れて楽しみたくなりませんか?

その中でも私が心惹かれるのはブルーやグリーンのペン。インクは水色。梅雨時期に綺麗だなあと感じる組み合わせです。

こちらの様々な色が折り重なった軸が美しい色の万年筆は、「エスティ シーグラス」という名前がつけられています。爽やかで繊細な感じがして…見ていると心がスッとします。シーグラスはそんな私の気分にもぴったりなペンなのです。

色鮮やかな樹脂軸なので一見イタリアブランドかな?と思う方もいらっしゃると思うのですが、実はアメリカのブランドです。現在日本に入ってきているアメリカのペンを見ると、あまりイメージにないですよね。

エスタ―ブルックは30~60年代初頭の古き良きアメリカを代表するブランドで、当時はこういった色鮮やかなペンも多く存在していたようです。
彼らのペンは歴代の大統領にも使用され、1961年にはJ.F.ケネディもアポロ計画の予算案の書類にエスターブルックのペンで署名しました。

残念ながら一度廃業し、近年同国の代理店が復活させました。
これだけアメリカで愛されていたことを知ると、復活してよかったと感じます。

このエスティシリーズは、当時ブランドを代表するモデルで、"エスティ"がそのままブランドのニックネームにもなっていたのだとか。(※現在は当時のものとデザインや仕様が変わっています)

キャップのブランド名の刻印にも注目してください。一般的にはキャップに金具のリングが付けられて、リング上にブランド名が刻まれることが多いのですが、このエスティシリーズは直接刻印がされています。これがまた可愛いのです。首軸までワンカラーで、間に入るリングもポイントになっていて綺麗です。

ネジ式のキャップ内にはバネが仕込んであり、開けると軽く反発感があります。このバネのおかげで密閉性が上がり、インクが普通のペンより少し乾きにくくなっています。

つやっとした飴玉のような可愛らしさ
エスターブルック 「JRポケットペン カーマインレッド」



こちらもエスターブルックから。

元々存在していた「J」というポケットサイズの万年筆の復刻版(Rはreborn=「生まれ変わった」から)で、"JRポケットペン"という名前がつけられています。

まるで飴のような色柄の「カーマインレッド」が私の心にぐっと刺さり購入してしまったのですが、見た目だけでなくその使いやすさに驚きました。

エスティとはまたペン先が異なり小ぶりになるのと、ブランドマークが可愛らしく刻印されているのが特徴です。ステンレスのペン先で柔らかさはないのですが、その分安定感がありサクサク書けるのと、中字を選択したのでインクがたっぷり出て、スルスルと滑らかに書けるのです。

ブラック(黒)のカートリッジインクが付属するのですが、これがはっきりと強い“真っ黒”。これまでは少し濃淡のある黒の方が万年筆らしくて良いかな?と思って使ってこなかったのですが、真っ黒で書いた文字、可愛いです。どちらも好きになりました。

JRポケットペンのカーマインレッドは、先程ご紹介したエスティのシーグラスと並べると非常に可愛いです。2本持ちしたくなります。

売り場でもその可愛さと使いやすさで結構リピーターの方が多いのですよ!2本目3本目とお持ちの方が複数いらっしゃいます。

化粧箱が布製で可愛いのも魅力です。


そして何を隠そう、現在日本でエスターブルックの筆記具を販売しているのは伊東屋だけです!珍しいペンをお探しの方にもおすすめですよ。

エスターブルック、今私のイチオシなブランドです。

薄暗い雨の日に惹かれるクラシカルデザイン
カヴェコ 「クラシックスポーツ」



雨の日に私が最も心惹かれるのが、カヴェコの「クラシックスポーツ」のようなクラシカルなデザインのペンです。

元々クラシカルなデザインは大好きですが、雨の日になると室内が晴れの日より暗くなりますよね?そうするとオレンジ系のライトの下で、クラシカルなデザインのペンはより一層素敵に見えるのです。

ドイツ生まれのカヴェコ。その歴史は1883年に始まります。実はこちらも1976年に一度廃業しているブランドですが、1995年にグッドバレット社によって復活を遂げています。

コロンとしたサイズ感が可愛らしいポケットサイズのスポーツシリーズは1972年のミュンヘン・オリンピック開催の際に公式ペンとして使われたものの復刻版。レトロ感漂う雰囲気は当時の面影を残しているからなのですね。

ちなみに私は最近までカヴェコのペンを1本も持っておりませんでした。家族から万年筆を1本譲ってもらって使い始めたのですが、その書きやすさに改めて驚きました。

ステンレスのペン先ですがインクフローが良く、滑らかさがあります。カラーバリエーションも豊富で、万年筆もボールペンも3,300円という手に取りやすい価格…。丁度気に入った色があったのでまんまともう一本別の字幅で購入してしまいました。

このシリーズは店頭ですと、基本的にM(中字)で販売されます。その他の字幅を使いたい場合は、ペン先ユニットを取り寄せる、という珍しいタイプでした。

ですが!

最近になって「クラシックシリーズ」(刻印や金具がゴールドのもの)に限り、初めからEF・F・M・B・BBのペン先がついたものから購入ができるようになったのです!(※「スカイラインシリーズ」や「フロステッドシリーズ」は、今まで通りMのみの販売です。)

個人的にはEFとMが好きです。

ink:カヴェコ「パラダイスブルー」

Mは滑らかさ抜群で、さすが初期設定に選ばれる字幅なだけあるなと…。EFはカリカリ感が楽しくて、個人的にはパラダイスブルーのような綺麗な水色のインクがより可愛く見える字幅だと思います。

カヴェコは最近では限定カラーも盛り上がっていて、限定色「シアン」も春夏にぴったりな色合いで好きです。


スポーツシリーズはクリップが敢えて付けられていないモデルですが、別売りのクリップを取り付けることも出来たり、カートリッジインクの色も豊富だったり、気軽に楽しく使えるのが魅力です。

特集「雨の日を愉しむインク」

雨を見ながら聴きながら…気づくこと、感じること。
雨の日ならではの表情を愉しみながら、ふと心にポツリと降ってきた想いを、色鮮やかなインクで書き留めてみませんか。

※万年筆の故障の原因となるため、インクはお使いの万年筆と同じブランドの純正品をご使用されることをおすすめします。
※ご利用の端末やブラウザ、また画像加工などの事情により、実際のインク色とは見え方が若干異なりますのでご注意ください。