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銀座・伊東屋 本店

CRAFT & CURATE 蒔絵が彩る万年筆|手しごとの舞台 ~〈輪島屋善仁〉の工房へ~

2026年4月17日(金)〜26日(日)の10日間、日本の伝統技法・蒔絵を施した万年筆の魅力を広くお届けし、伝統工芸とお客様を「結ぶ」ことをテーマにしたイベント「CRAFT & CURATE 蒔絵が彩る万年筆」を開催いたします。

会場では、国内外から厳選した蒔絵万年筆に加えて伊東屋限定デザインも展示・販売いたします。
その制作の現場を訪ねて、今回、石川県・輪島市の〈輪島屋善仁〉さんの工房を取材しました。
こちらの記事では、伊東屋限定「六大陸シリーズ」が完成するまでの様子とインタビューを、伊東屋スタッフの視点とともにお届けいたします。

〈輪島屋善仁〉とは
江戸・文化年間(1813年)創業。以来200余年、職人は「人格崇高たるべし」との家訓のもと、技術と感性の向上を求める風土を育んできました。
1984年には日本初の漆芸専門デザイン会社を設立し、新たな漆の美の創造をめざしました。
また最上の日本産漆を求め、1997年より岩手県浄法寺で日本最大の漆の森づくりを行っています。

■イベント概要
CRAFT & CURATE 蒔絵が彩る万年筆
期間:2026年4月17日(金)~26日(日)
場所:G.Itoya 10階 HandShake Lounge

■伊東屋スタッフ訪問レポート ~〈輪島屋善仁〉さんの工房へ~

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石川県・輪島市の街を歩くと、さまざまな輪島塗に出会います。
輪島塗は、堅牢な塗りと加飾の優美さが特徴の日本を代表する漆器で、国の重要無形文化財に指定されています。
分業制でものづくりが行われるため、木地づくり、塗り、研ぎ、沈金、蒔絵といった工程ごとに、それぞれの職人が自宅に工房を構えています。
手仕事が脈々と受け継がれ、漆器をはじめとするものづくりが暮らしのなかに息づいていました。

今回、伊東屋限定「六大陸シリーズ」を制作してくださった〈輪島屋善仁〉さんの工房も、ここ輪島市内の静かな住宅地の一角にあります。

|〈輪島屋善仁〉「六大陸シリーズ」
世界の六大陸を代表する動物を描いた伊東屋限定の万年筆。
輪島で受け継がれてきた蒔絵技法で各大陸の動物の親子を描き、そのデザインには「日本の伝統技法と文化を未来に繋ぐ」という意味が込められています。

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・アフリカ大陸:キリン
・オーストラリア大陸:コアラ
・南極大陸:ペンギン
・ユーラシア大陸:パンダ
・南アメリカ大陸:コンドル
・北アメリカ大陸:ヘラジカ

蒔絵のモチーフとしては珍しい動物たちの、優雅さやしなやかさが多様な蒔絵技法で表現されています。
実は、このたびの動物の親子をあしらったデザイン案は、伊東屋の社員のアイデアによるもの。その下絵が蒔絵万年筆としてどのように仕上がるのか、ワクワクしながら工房にお邪魔しました。

|蒔絵師
伊東屋限定蒔絵万年筆「六大陸シリーズ」の蒔絵を施してくださった、蒔絵師・永嶋さんにお話を伺いました。

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【永嶋 珠子】(ながしまたまこ)
 2000年11月 山形生まれ
 東京都立多摩科学技術高等学校を卒業後、京都伝統工芸大学校へ。
 2024年3月に卒業後、同年11月〈輪島屋善仁〉入社

「万年筆のような細い円柱のものに蒔絵を描くのは初めてでした。
線を一本引くにも平面や緩やかな曲面とは勝手が違い、難易度が高い中でもやりごたえのある品物でした。普段は器に蒔絵を施すことが多いですが、今回は器とは異なり『ペン』ということで、描く際の持ち方や順番に工夫が必要でした。
デザイン部から上がってきた蒔絵図案は、それぞれの動物の親子の特徴を可愛らしく捉えながら、シンプルな線でスッキリと構成されたものだったので、その可愛らしさを最大限に表現できるよう、技法や使用する金粉、手順を考え、親方の指導も仰ぎつつ描いています。」

|蒔絵万年筆を生み出す道具と準備

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「ネズミ、猫の毛を主に使用しています。
熊野筆をはじめ道具作りも各地の職人に助けていただいています。」

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漆の入った木樽

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紙に包まれた、蒔絵に施される金粉

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伊東屋スタッフのアイデアをもとに、〈輪島屋善仁〉デザイン部が完成させた図案。
その図案を、蒔絵万年筆の本体へと丁寧に写し取ります。

|各柄ができあがるまで

生命力とその躍動を感じさせる動物たちの姿は、輪島で受け継がれる伝統と職人の精緻な技巧によって、表情豊かに仕上げられています。
動物と背景の間に施された輪郭線には金を多めに施し、その存在感を際立たせています。
また、文様に蒔いた金銀粉が剥がれないよう、「色漆」と呼ばれる顔料を加えた漆を重ねて固める「色塗込み」という技法が用いられています。
ここからは、それぞれの柄に施されている技巧をご紹介いたします。

〈キリン〉
アフリカ大陸に生息するキリンを、ダイナミックかつ繊細に表現しています。
ぜひ注目していただきたいのが、特徴的なぶち模様です。先に茶色の模様を描き、その隙間にクリーム色の毛並みを塗り重ねることで、美しい模様が生まれます。
さらに、たてがみは極細の線で一本一本丁寧に描かれており、細部にまでこだわりを持って仕上げています。

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〈コアラ〉
オーストラリア大陸を代表する動物・コアラ。
コアラが抱きつく木の幹の部分には、金粉が贅沢に施されています。
また、愛らしい毛並みのふさふさ感は、巧みな筆づかいで精緻に美しく表現されています。

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〈コンドル〉
南アメリカ大陸に生息するコンドル。翼を大きく広げる親と、巣で親を待つ雛の姿が描かれています。
ダイナミックな山脈の稜線は「金ぼかし」「銀ぼかし」と呼ばれる技法で表現されています。
金粉・銀粉をまぶした道具を指先ではじくような動きと、絶妙な力加減によって生み出される美しいグラデーションにご注目ください。

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〈ペンギン〉
親子のペンギンを、南極のオーロラとともに描いた一本です。
オーロラは細かな線に加え、「金ぼかし」「銀ぼかし」と呼ばれる技法を用いた美しいグラデーションで丁寧に仕上げられています。
またペンギンは成長とともに体の色合いが変化するため、親子それぞれの違いも表現されています。

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〈パンダ〉
ユーラシア大陸を代表する動物・パンダ。
子どもの成長を見守る親の姿を表現した一本で、コロコロと転がる子パンダを優しくみつめています。
パンダの特徴の白と黒の色は「いろがため」という技法が用いられています。
白の部分に蒔く量を少し増やすことで、毛色のニュアンスが細やかに表現されています。

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〈ヘラジカ〉
北アメリカ大陸の雄大な大地を、大きな角を揺らしながら歩くヘラジカに着想を得たデザイン。
親ヘラジカの角は、「ハッカケ」で濃淡を表現しています。
山脈は「金ぼかし」と呼ばれる金粉を蒔く技法で、奥行きのあるグラデーション効果が用いられており、北アメリカの雄大な景色が描かれています。

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この度、〈輪島屋善仁〉さんと伊東屋の限定デザイン蒔絵万年筆が生まれたことをうれしく思います。
これまで蒔絵万年筆のモチーフとしてあまりなかった動物のユニークなデザインをぜひお楽しみください。
素敵な出会いに感謝するとともに、日本の伝統技法・蒔絵を施した万年筆の魅力を広くお届けしたいと考えております。

伝統工芸とお客様を結ぶ「CRAFT & CURATE 蒔絵が彩る万年筆」は、2026年4月17日(金)~26日(日)の10日間、G.Itoya 10階 HandShake Loungeにて開催いたします。
蒔絵万年筆の世界が広がる会場へ、ぜひお立ち寄りください。

CRAFT & CURATE 蒔絵が彩る万年筆
期間:2026年4月17日(金)~26日(日)
場所:G.Itoya 10階 HandShake Lounge