「ペンのお話、しませんか？」
銀座のあの人おすすめ筆記具

銀座 伊東屋が自信をもって取り揃えている商品の中から、G.Itoya 3階筆記具コーナーに勤務する伊藤が季節やテーマにあわせておすすめの万年筆やボールペンをご紹介するこの連載！
第6回目は、海外旅行気分を味わえるペンたちをご紹介します。

夏本番！みなさん、夏はお好きですか？夏はなんだか気持ちを元気にしてくれますよね。
東京は日差しと照り返しのWアタック、それに加えたむしむし感で体力が奪われがちですが、旅行に行くと現地の気候がどうであっても、それを含めて「旅行の醍醐味だわ」とポジティブになってしまうのが不思議ですね。
今回は少し趣向を変えて、ペンを通じて様々な国を感じてみようと思います。ペンと一緒に空想の海外旅行に出かけませんか？

ペンで海外旅行？とお思いでしょう。ペンには知らず知らずのうちにお国柄が出ているのです。そのペンを見るとその国の情景が思い浮かんだり、雰囲気を感じたりすることがあるんですよ！

まずはアウロラのオプティマシリーズから、アランチョをご紹介。
そう、最初の到着地はイタリアです。

トリノ発祥のブランド・アウロラのフラッグシップモデルであるオプティマは、アウロラが独自で開発した樹脂＝アウロロイドを使って作られています。マーブル模様が美しいこのコレクションは、アウロロイドをひとつずつ削り出していて、2本と同じ模様がありません。

アランチョというのは、オレンジ色のこと。この深みのあるオレンジ色は、昼間のパワフルな太陽を彷彿とさせてくれますし、美しく深みのあるマーブル模様と曲線が美しいゴールドのクリップは、沈みかけている夕日や夕焼けの景色を思い起こさせてくれます。

イタリア各地の様々な地域やシーンの太陽を表現してくれ、その景色に溶け込んでくれるこのボールペンは、手に収まるサイズ感で、片手で容易に芯を繰り出すことができます。軽めのボディなので持ち歩きがしやすく、手に取るだけでも気持ちが高まります。

メモを取っているふとした時に自分の手元から、まぶしい太陽いっぱいのシチリアの風景を感じたり、夕暮れのフィレンツェのポンテヴェッキオを思い出したり…とっても素敵な瞬間ではないですか？このペン一つでイタリアの様々な土地に思いを馳せられ、満ち足りた気持ちになれることでしょう。

お次はラミー2000をご紹介。ドイツの、ものを大切にする考えにフォーカスしていきましょう。 ラミーはドイツ・ハイデルべルクにある筆記具ブランド。ラミーのものづくりのこだわりは、バウハウスの理念をベースにした「シンプルかつモダンなスタイル」が基本です。無駄な装飾をせず素敵なデザインであるがゆえに、「飽きがこずに長く使い続けられる」という芯の通った考え方を具現化し続けているプロダクトが、この「ラミー2000」です。

1966年に登場したラミー2000は「西暦2000年を越えても通用するデザインを」をベースにして作られました。樹脂軸とステンレスのコンビネーションはシンプルながらモダンな印象で、長く使い続けられるデザインが今の時代にもしっかりマッチしています。

樹脂軸にはヘアライン加工が施されていますが、その作業は製造工程の最後に1本1本手作業で行われています。新品が最初白っぽい・粉っぽいことがあるのは、このためです。丁寧な作業により、樹脂軸とステンレス部分の境がなくなり、より一体となったデザインに仕上がっているのです。

このシリーズのシャープペンシルは0.5mmと0.7mmの2種類から選べます。用途や字の大きさによって選べるのが嬉しいところ。1本持っていると何かと便利なシャープペンシルだからこそ、シンプルでかっこいいものを使い続けたいですね。

ドイツは質のよいものを長く使う・無駄にしないという国民性があります。長く使うことで愛着がわき、さらに大切にする、そして後世に引き継いでいく。無駄なものをそぎ落とし、シンプルでとても深い。全てのものにそういう気持ちを持てたら、幸福感あふれる充実した日々を過ごせると思いませんか？
ラミー2000で書くことで、ドイツらしい心の豊かさを感じていただけると嬉しいです。

最後はパーカーのデュオフォールドで、イギリスの伝統の重みを体感。
デュオフォールドはその昔パーカーを最も有名にしたモデルで、今やパーカーのフラッグシップモデルとなり大切に作られています。パーカーのどの製品よりも製造工程が多岐にわたり、出来上がるまでに多くの時間がかけられています。その分、仕上がりはとても美しく、品のある佇まいです。

くるみの殻を細かくしたものでペン先を磨きますが、これは殻に含まれるオイルで艶を出し、丈夫にコーティングする役目が含まれています。ボディの樹脂の質感はしっとりとし、特に黒のボディの艶と輝きは、金色の矢羽モチーフのクリップと共にとても上質な雰囲気を醸し出しています。

どこのブランドよりも樹脂の輝きが美しく、傷がつきにくいのでは？と私は思っています。万年筆のペン先は18金で大きめ。しっかりした安定感のある書き味です。ボディのサイズから、ゆったりと優雅な気持ちで書くとさらに良さが感じられると思います。

伝統や、質の高さを大切にする国・イギリス、そのイギリス王室御用達ブランドとして「ロイヤルワラント」の称号をもらっているパーカー。パーカーが生み出すデュオフォールドの万年筆は、まさに伝統と気品あるイギリスそのものです。

デュオフォールドを手にするたび、自分が王室に身を置いたかのような荘厳さを感じたり、アフタヌーンティーを楽しみながら優雅に過ごしているかのように錯覚したりしてしまいます。この上質な万年筆はみなさまを圧倒させてくれるでしょう。

ペンと一緒に空想・海外旅行、いかがでしたか？
「そう言われると、ペンの持つ雰囲気にはお国柄がにじんでいるな」と少し共感していただけると嬉しいです。
同じ国の違うブランド同士を見てみても、根底にある雰囲気や心意気は同じであったりするので、小さいながらもペンはその国を表しているなぁと感じます。ペンからもらうパワーや思い浮かぶ情景で、仕事がはかどったりリフレッシュできることも。
みなさんもお気に入りの国のペンを探してみて、空想・海外旅行をしてみてはいかがでしょうか？