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引き出しの中は、わたしの世界

#5「秋はいつもより少しだけ前を向ける季節」

「引き出し」は好きなもの、こだわりのもの、自分だけのとっておきが詰まった特別なスペース、"自分だけの世界"。

そんな、特別な場所-引き出し-の中に加えたくなるようなとっておきのペンを、様々なテーマから集めてご紹介します。紹介してくれるのは、伊東屋の中でも「ペン好きさん」として有名な、銀座 伊東屋 横浜元町・筆記具売り場のスタッフTさん。

連載5回目となる今回のテーマは、「秋」に持ちたくなる素敵なペンです。

秋はいつもより
少しだけ前を向ける季節

テーマ紹介

ink:パイロット「色彩雫 山葡萄」

秋の香りがしてきました。
夏の終わりが近づくにつれて外はまだまだ暑くても気持ちは既に秋を求めていて、お店に並ぶ商品が秋めいてきたり、風が秋の風になったらちょっと嬉しい。

そろそろ来年の手帳のことをぼんやり考えながら、今年は何にしようと密かにわくわくしたり、秋特有の大人っぽい色や雰囲気に心を弾ませながら素敵な持ち物を揃えたら、素敵な自分に出会えるのではないかと期待を寄せるのが毎年の恒例です。

お洒落をしたい、小物までこだわりたい、新たなことに挑戦してみたい…
素敵なものに囲まれて気分が高まったり、気持ちを切り替えられるタイミングでもある秋は、皆が少し前を向ける季節です。

今回はそんな秋に持つと素敵なペンをご紹介いたします。

曲線美で魅せるイタリアデザイン
アウロラ「イプシロン ボールペン」


color:ボルドー/グリーン

秋になると惹かれるのは落ち着いたトーンの色にゴールドの組み合わせ。
イタリアで最も歴史の深い筆記具メーカーであるアウロラは、ファッション好きの方にも支持されるメーカーの一つです。

今回ご紹介するのは「イプシロン」というモデル。まず、色のトーンが絶妙ですよね。このグリーンとボルドーはまさに秋に持ちたくなるカラーです。秋になるとバッグやお洋服にも取り入れるという方も多い色ではないでしょうか。

“イプシロン”というのはイタリア語でアルファベットの「Y」を意味しており、このペンのクリップの形もよくよく見てみると「Y」になっています。


ぱっと見ただけでは分かりづらいのですが、イプシロンのボールペンはノック式。ここがノックボタンです、というパーツがついていないので高級感を損なわずに、ボディの頭を押すことでさらっと芯を出すことができるのです。デザインを大切にしているイタリアメーカーならではのこだわりを感じます。

書き心地はというと「THEボールペン」という印象です。昨今流行しているなめらか系の低粘度インクだと滑ってしまって苦手、筆圧をしっかりかけて書きたい、という方にもおすすめです。

現代に復刻した昭和クラシカル
パイロット「エリート95S 万年筆」



懐かしい、と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
1968年に発売された「エリートS」の復刻版です。

私はこういったクラシックでレトロなデザインが好きなので、デザインは当時の雰囲気、機能は現代版にアップグレードされる復刻版が大好きです。

エリートの特徴としては、ショートサイズでペン先から首軸が一体となっている形。今ではあまり見られない形状で、非常に軽く、本体は短いですが後ろにキャップをつけると丁度良いサイズ感になります。


私は復刻後に登場したカラー、ディープレッドを愛用しています。
シャンパンゴールドのようなキャップの色、バーガンディの軸色、金具のゴールドという、絶妙な組み合わせのレトロカラー。ありそうでないのです。クラシックなシステム手帳と併せて持っても素敵だと思います。

ペン先は14金ですが、価格がなんと11,000円。金のペン先を搭載していて11,000円で購入できるモデルは現在ほとんどありません。

私はFの字幅を愛用しているのですが、書き味はサリサリとした中にも柔らかさがあって、ペン先の穂先が細長くなっているので筆記面が見やすいのがお気に入りポイントです。

このペンにはクラシカルにブラックやブルーブラックのインクを入れるのも素敵ですし、カラーインクを入れて秋色を楽しむのもいいですね。

パイロットのインクといえば昨今のカラーインクブームの火付け役ともなった「色彩雫」シリーズ。秋を連想させる「紅葉」や「秋桜」もありますが、個人的に秋のオススメの色は「山葡萄」と「山栗」。
インクで筆記した画像

手紙を書く時には特に季節感を大切にしたいものですが、この2色のような深みのある落ち着いた色を使うと、文字の色で秋を表現することができます。

「山葡萄」はワインの色のような深みのある赤紫で、書いた直後よりインクが乾いた後の方が色の深みが増してお洒落な色になります。秋冬に特に人気な色ですね。「山葡萄」は最近カートリッジインクも発売されたのでお試ししやすくなっていますよ。

「山栗」は書いている時は黒に近い色合いですが、乾くと茶が浮かび上がり綺麗なセピアカラーに変化します。比較的落ち着いた色でありながら黒より文字の印象が優しくなるので、ベーシックなカラー以外を使ってみたいけど用途が絞られるのでは…という方にも使いやすくておすすめです。

モダンな彫刻とレトロカラー
パーカー「パーカー51 モダンヘリテージ 万年筆」


color:フォレストグリーンGT/ブラックGT

以前もご紹介したことのあるパーカー51の新作が登場しました。モダンな彫刻パターンが入ったキャップにレトロカラーの軸が組み合わさった、「モダンヘリテイジ」というコレクション名にぴったりなデザインです。

この彫刻パターンは現代建築をイメージしており、ブラックは幅の異なる2種類の緻密なラインを平行に彫刻した「ストライプ」、フォレストグリーンは縦横の直線を組み合わせて建築的な美しさを表現した「アーキテクチュラル」模様になっています。

新色は全4色で、どれも絶妙にレトロで素敵な色なのですが、秋というとこのブラックGTとフォレストグリーンGTの2色がおすすめです。やはり金具のゴールドが入ることでぐっとレトロ感、高級感、秋冬感が増す気がいたします。

前回、パーカー51の万年筆はフーデッドニブと呼ばれる、ペン先が首軸で覆われている形状のペンというお話をしました。インクが乾きにくくなるように考慮された形ですが、それ以外にもうひとつ良いところがあります。

グリップの下の方を持って書く方は、ペン先に指が当たってインクが手につきがちですが、フーデッドニブタイプだとペン先が覆われているエリアが広いので、指が当たりにくくなります。

また密閉性を上げるためにネジ式のキャップになっていますが、軸のねじ切りも極力手のあたりが少なくなるようこだわって設計されています。持つ位置を制限されにくいというのは大きな魅力ですよね。

万年筆の字幅はFのみのつくりで、舶来メーカーの中では比較的細めに書ける印象です。

自分が普段愛用しているパーカー51のミッドナイトブルーにはパーカーのブルーブラックを入れているのですが、モダンヘリテージのこの2色に入れるのであればブラックで書きたいです。

※ご利用の端末やブラウザ、また画像加工などの事情により、実際のインク色とは見え方が若干異なりますのでご注意ください。