「1週間いつでも
好きな人に手紙を書きたい」
7 days cards は「1週間毎日手紙を書きたい」という想いから、デザイナー・藤原弥生さんが1980年にスタートしたポストカードブランドです。 シンプルだけれど遊び心のあるデザインは、贈る相手を問わずお使いいただけます。
itoya
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yayoi fujiwara
"yaya" とは、伊東屋の「ya」と藤原弥生さんの「ya」を組み合わせたプロジェクト。 伊東屋オンラインストアだけでご用意している、7 days cardsの原点である7枚セット。 7枚のポストカードは1週間毎日楽しめる、yayaプロジェクトオリジナルのセレクトです。 150種以上のラインナップから、あなたの1週間にぴったりなセットをえらんでください。
1980年よりブランド〈7 days cards〉をはじめたデザイナー・藤原弥生さん。
「いつでも好きな人に手紙を書きたい」という想いで生まれた 〈7 days cards〉は、2020年に40周年を迎えました。
40周年を記念して、藤原さんにインタビューを行いました。
ポストカード作りのはじまりから、40年間続けてこられた想いなど、作品の魅力に迫る貴重なお話をお聞きしました。
(インタビュー:2020年9月 G.Itoya 10階 HandShake Loungeにて)
―― 7 days cardsは、2020年の秋に40周年を迎えました。
スタートした1980年は、藤原弥生さんにとってどんな年だったのでしょうか。
1980年というと、大学を卒業して6年。 私はヒッピー世代だったので、「自分で何か物を作って、どこかで売る、何かに属さず、自分で作った物を売って生活したい」というのがまず最初にありました。 その時にはじめたのが、シルクスクリーン印刷の手摺りポストカードです。
第1作目は7枚セット。最初から7枚のコンセプトでした。
「1週間」。月曜日から毎日1枚ずつで7枚。
これがシルクスクリーンの原型です。
シルクスクリーンで自分で摺っていました。100枚摺っていたけれど、けっこう失敗もしました。
ちなみに、ロゴマークのシールはデザイナーの羽良多平吉氏に頼みました。この7 days cardsのロゴは今も変わらず使っています。
商品として販売をしようと決めて、一番最初に訪ねたお店は青山(東京都港区)の「on Sundays(オン・サンデーズ)」でした。 7 days cardsは1980年に名古屋でスタートして、その後、東京にポストカード専門店があると聞き自分で営業したんです。28歳のときでした。
―― 売れ行きはいかがでしたか?
いやー、ひっそりですよ。 でもそこから始まって、40年間ずっと途切れることなく。オン・サンデーズとも40年。 7枚セットで24作目まで続きましたが、力尽きて、30歳のときにオフセット印刷に変えました。
―― ポストカードを作りはじめたきっかけを教えてください。なぜ、ポストカードだったのでしょうか。
ポストカードのサイズが自分にぴったりでした。ポストカードが好きです。
特に好きなのはオノヨーコさんのもの。1971年。
衝撃的でした。コンセプチュアルなカードとしてとても衝撃的で。どこで手に入れたのかは記憶にないです。日本か、アメリカか。
その頃から集めているお気に入りのポストカードは、部屋の壁に貼ってあります。
作品を作りはじめた頃
一番最初、私の原点は、貼り絵です。20代中盤に作った黒地にピエロがいる図案は、その後カードにもしました。
貼り絵がコラージュになり、花のシリーズになり。基本的には手法としてコラージュが好きです。
当時はコラージュがはやっていました。私は70年代が青春真っ只中。
70年に名古屋から東京に来て、日芸(日本大学芸術学部)でいろんな人に会い、刺激を受けました。
70年代のヒッピー文化、ヒッピー商法(とは自分で作って自分で売ること:藤原さんの造語です)をずっとひきずって、40周年まできたっていう感じです。
これは、伊東屋で最初に買ったカードです。郵便番号欄が5ケタ!
輸入ではない、日本のカードで、手作りのものです。(メーカー不明)学生時代に買ったから1970年代くらいのカードだと思いますが、大切にしています。
私は伊東屋で買ったカードは、全部取っておいてあります。
手紙はすごく書いていましたし、紙ものを集めることも好きです。小学生のときから好きでした。
鉄腕アトムや、マーブルチョコレートに入っているシールのようなものも集めていました。紙ものはずっと好きだったんだと思います。
紙を、切るとか、貼るとか、好きなんですよね。「書く」ではなかったです。
―― 作品を世の中に発表したのはいつ頃ですか。
大学は演劇でした。でも貼り絵を雑誌などに載せてもらって、バイトをしていました。
編集部に頼まれて、小さな貼り絵で猫などを作っていたこともあります。
ブロンズ社というところの目に留まって、貼り絵の本を出したのが最初です。『白い汽車が走ってる』という本でした。
なんでもトライの時代だったと思います。
私は、「絵はがき製造卸業」として仕事をしてきました。作家や職人というよりも、個人商店の店主です。それはずっと変わりません。
自分のカードを置きたいお店は、自分が好き、いいな、と思うところに営業に行きました。オン・サンデーズや伊東屋です。
伊東屋で最初に会ったのは男性のバイヤーさん。
私はといえば、麦藁帽子なんかをかぶって、見せる物といえば、無地のカードや、動物の猫などの切り絵のシリーズ20タイプ。
そのバイヤーさんが、「無地のいいじゃない」と、「印刷コーナーに置こうよ」って言ってくださって、それで伊東屋とお取引がはじまりました。
それが今(2020年)から35年前。1985年8月1日(昭和60年)のことです。
―― 1年間に5回新作を発表されていますが、デザインのアイデアはどこからくるのでしょうか。
アイデアは日常から。季節に合わせて。 クリスマス、年賀、バレンタイン、夏、秋… だいたい2ヶ月くらい前から考えます。 この1年5回はずっと、10周年頃からかな。10周年の頃はバブルの時で、90年代前半がけっこう売れていて、アイテムが少なくてもすごく売れていました。
―― 活版印刷の魅力を教えてください。いつ頃からこのシリーズははじまりましたか。
機械で刷ってお店に卸していくという方式と、活版印刷で少ない数で、自分でやって売りたいという気持ちがあって。 活版印刷は2003年から17年やっています。2004年には100種類出しました。 活版印刷は原点に戻りたい、やっぱりなにか自分の手でやりたい、ということから、縁があってはじめました。
初期に作った花のコラージュのものは、「7 days cards Private」として、好きに作っています。 古いポストカードをコラージュしています。当時、神保町の「あべのスタンプ」(現在は閉店)に行き、古い紙製品に刺激を受けました。 新しくても古くても、やっぱり紙のものは好きです。
―― 「この環境が整わなくては作品にとりかかれない」という絶対はありますか。
作るモードに入るには、今までに購入したグリーティングカードや資料などを、絶対に見ます。
クリスマスをやろうと思ったら、今まで買ったクリスマス柄がどっさりあって、それを全部見ます。国内外の自分の好きなものが山ほどあるから、毎年見るんです。
それにちょっと時間がかかって、それから自分のデザインに行く感じです。それが儀式です。
自分のなかの儀式です。ものを作るための入り口という感じ。
そうするとなんとなく意欲がわいてきます。ただ白い紙ではじめるのはちょっと難しい。スケッチをすることもありますが、自分の全資料からインスピレーションを受けます。
―― 制作の時間は一日の中でいつ頃ですか。一日の流れを教えてください。
特に決めていないです。
制作の期間はあります。それは印刷屋さんに出す期限によります。
シーズン毎に1ヶ月くらい前からはじめて、いろんなものを見たりしてそういうことを繰り返してだんだん作っていく感じです。
最後に一気に行く場合もあるし、すごく時間がかかる場合もあるし。何タイプか作ってその中から2、3種類選びます。
今は姪たちのMomon Kayon(モモンカヨン)も見ないといけなくて…
プロデュースにも時間がかかります。
作るときには外に出る仕事をしないと決めています。こもる感じです。
―― 気に入っている7 days cardsのカードは。
今までの作品は2,000枚近い数があります。 とりわけ「ハート」のモチーフが好きです。
意識はしていなかったけれど、子供の頃からハートは好きだったと思います。ハートのモチーフが多いです。
私が描いたハート、自分の好きな形のハート。シャープな感じのハートです。ハートのモチーフが本当に多いですね。
だからバレンタインのポストカードには力が入ります。
需要に合わせた。ということもあります。やっぱり売れないとだめだな、そうしないと続けられないな、という気持ちがあるときから出てきました。
作りたい物と売れる物とのバランスをずーっと調整してきています。
40年間ずっと調整をしてきていますが、今も勉強中です。
―― ご当地シリーズについて。どのような経緯ではじめられたのか教えてください。
観光はがきも作ってみたくてはじめたシリーズです。 ご当地シリーズの最初は名古屋の「金の鯱」です。(藤原さんは名古屋出身)
―― 最大のピンチはありましたか。
今年(2020年)はピンチです。 もしこの40周年がなかったら、がんばれなかったと思います。
―― ポストカード作りをやめようと思ったことはありますか。
作りたくないなと思うことはたびたびありました。コンスタントに作らなければならない。というプレッシャーに負けそうになるときはありました。
「もう辞めたいな~」と思うこともありました。
それを乗り越えられたのは、季節はめぐってくるから。
1シーズンも穴をあけたくない。
自分の怠慢でできなかった。ということの説明を、それをうまく言えないな。と思いました。だから季節がめぐってくるたび作ります。お客さまは鋭いんです。
10年前、30周年の時に、投函するときに胸が高まる、そんなポストカードを作り続けて行きたいと思いました。
この時代になっても同じです。
今回のことで(コロナ禍)、郷里に帰れないとか、会えなくなったというので、メールだけじゃなく手紙を書く人も増えたそう。うれしいことです。
―― 40周年を迎えてひとこと。
40年は長かった。
山あり谷ありだったなと、40周年を迎えてそう思います。
ポストカードだけで続けていく。私はこれしかできなかった。ということがあります。
今はよかったと思ってます。
―― Momon Kayonさんたちが入って、2020年で12年ですね。
新しいレーベル〈Momon Kayon〉が始まったのは、2008年のクリスマスからです。Momon Kayonシリーズは私の姪2人のブランド名です。
この10年その力はすごく大きくて、30周年まではなんとか私ひとりの力で自力でやってこられたけれど、40周年を迎えられたのはMomon Kayonのおかげ。それははっきりしています。
2人はデザインができる、ということがありがたいです。物を作れるということがすごくよかった。
――もともと一緒にやりたいと思っていたのですか。
宣言も何もなくアルバイトから始まっているので。作業・荷造りから始まっています。 Momon Kayonがスタートする前の一番最初のデザインは、下の姪(Momon)が宅配便の伝票の裏にささっと猫を描いていて、これいいじゃない!と私が思って、すぐカードにしました。
このカードが初めてお店に並んだ時のことは今でも覚えていて、渋谷でした。
ハートの178と179(ポストカード裏面にある商品番号)。お店で一番前に出してあって、陰で見ていたら、お客さんが来て、ぱっと取って、裏を見て戻した。でもまた見て、買った。
それで、「あー良かったー」と思いました。
そして7 days cardsの新しいシリーズがはじまりました。
藤原弥生さんのお仕事七つ道具
ルーペ
よく切れるはさみ
鉛筆削り(ファーバーカステル)
ジェットストリーム0.7mm(三菱鉛筆 多機能4色。絶対0.7の多機能が好き)
ボールペン スーベレーン(ペリカン)
マッキー 極細(ゼブラ)
消しゴム(mono)
鉛筆(ステッドラー FとHB)
マスキングテープ シルバーとゴールドと赤とピンク
7コレクション(7ってあるとつい買ってしまう)
―― 今後の活動予定を教えてください。
Momon Kayonと一緒に7 days cardsの新しい道を模索したいです。
藤原弥生
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