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私の選ぶ「名品」筆記具 Vol.2

伊東屋2年目社員セレクト!
新社会人におすすめしたいペン

みなさんは「名品」と聞いてどのようなものをイメージされますか?
辞書で「名品」の意味を調べると、すぐれた品。名高い品。と解説されていますが、「すぐれている」かの評価基準は100人いれば、きっと100通り。

日々数多くの商品に触れている伊東屋の販売スタッフに、自己流の基準ですぐれた名品を選んでもらい、自由に語ってもらうこちらの特集。

第2弾となる今回は、伊東屋入社2年目の若手社員が集まって、同じ目線から若手社員や新社会人の方に教えたい“筆記具選びのコツ” や “おすすめのペン”を紹介します。

今回お話してもらうみなさん

メンバー紹介

Q1 伊東屋の新入社員は1年目に必ず高級筆記具コーナーの担当になりますが、大変だったことはなんですか?

座談会風景1


S:入社前に「伊東屋の社員になるのだから」と父に銀座本店で高級筆記具をプレゼントしてもらったんです。 その時に受けた接客にすごく感動して!そのイメージで、かえって自分の中で高級筆記具のハードルが上がってしまったといいますか…。

O:それはハードル上がりそう…私は筆記具のブランドをほとんど知らなくて、覚えるのに苦労しました。 ショーケースにずらり並んでいる筆記具を見ても、ブランドや種類の境目が分からなかったです。

E:分かります!まずはブランド名を覚えることから…配属当初は高級筆記具を持っていない自分に接客できるのかと不安でした。 Wさんは絵を描くのがお好きですが、筆記具についても詳しかったですか?

W:いや… 画材メーカーとしてはカランダッシュやファーバーカステルを知っていました。 ただ、画材としてのイメージが強かったので、あらためて筆記具ブランドとして商品を覚えるのは同じく大変でした。Yさんは入社前から筆記具に興味があったんですよね?

Y:はい、両親が筆記具好きだった影響で元々興味があったので、パーカー、クロス、カランダッシュなど有名どころのブランドはいくつか知っていました。 だから、少しはとっつきやすかったかもしれません。
接客で大変だったのは、お客様が最初に漠然と持っている「こんな感じのペンが欲しい」というイメージを、会話の中で探っていくことです。

S:分かります。お客様のこういったご要望にはこのペンを出してみよう、というようにシミュレーション形式で練習してみたりもしました。 もちろん、伊東屋には知識豊富なベテランの先輩方が大勢いらっしゃるので、接客のことからマニアックなペンの知識までたくさん教えていただきました。

スタート地点はひとりひとり違った皆さんですが、やはりそれぞれの苦労があったようです。 筆記具担当として一人前になるため、先輩たちに協力してもらいながらひとつひとつ努力を積み重ねてきたのが伝わってきます。

Q2. この1年を通して、ペンに対する興味や思いに変化はありましたか?

接客イメージ


E:正直に言うと、当初はなんでこんなに値段が高いのだろう?と思っていました。

S:分かります!でも、その理由が分かるようになりましたよね。ペンに使われている素材だったり、職人さんの手作業でひとつひとつ作られていたり。

Y: そうそう。だからこそ、自分でペンを買うときはデザインだけでなく質も見るようになりました。 学生の頃はかわいいデザインのお手頃なものをたくさん集めていたけど、今はデザインがいくらよくても、特に書き心地が自分の好みかどうか考えるようになりましたね。

O: 自分の中でペンの価値が上がったというか、見る目が厳しくなった分、よく検討してから買うようになりました。 売り場にいると欲しい筆記具がどんどん増えていくので、とっておきの一本を記念日や大事な瞬間に手に入れたいなと思っています。

E: 私はお客様とお話しているうちに「自分に合うペンって何だろう?」と考えるようになりました。 それから、自分でも一本、いいペンを持っていてもいいかもと思ったんです。 それまでは自分の字は綺麗じゃないと思っていたし、手紙を書くのも得意ではなかったんですが… いつのまにか書くことに対する愛情が芽生えていました。

S: 筆記具を担当したことを通して、万年筆の面白さを知ることができたと思います。誰が書くかによって、筆跡も何もかもが変わってくるところとか。 万年筆以外にも、インクやどんな紙に書くかにもこだわりはじめるようになりました。

W: お客様と店員とでは案外ペンに対しての認識に差がある、というところがとても興味深いなと感じています。 「お客様はどういうペンをいいなと思っているのかな?」と、需要やトレンドを追いかけるようになりました。 「このペンは人気が出そう!」と予想するのも楽しいです。他のお店ではどんなペンを置いているのかや、映画やドラマなどで役者さんが持っているペンが気になるようになりました!

みなさん、筆記具担当を通してペンに対する見方が大きく変わった様子。筆記具についてより深く知ったことで、自分がペンを買う際の基準が変わったというお話が印象的でした。
「書くことに対する愛情」という名言も!入社2年目にして、さっそくペン好きへの一歩を踏み出しているようです。

みなさんに「伊東屋入社後に初めて自分で購入したペン」を見せてもらいました!

初購入ペン


左から、Oさん「ラミー サファリ万年筆 ホワイト」「ロメオ No.3 ボールペン バーチカルライン ゴールド」/ Wさん「カランダッシュ 849ボールペン (店舗限定 カランダッシュ+me)」/ Yさん「ペリカン 特別生産限定 クラシック M200 ゴールドマーブル」/ Sさん「エスターブルック JRポケットペン カプリブルーGT 万年筆」/ Eさん「カヴェコ クラシックスポーツ ホワイト 万年筆」(Eさん)

※ペンはスタッフ私物
※伊東屋オンラインストアでは現在お取り扱いのない商品がございます。

Q3. 社会人2年目のみなさんと同じ若手社員や新社会人の方に、
筆記具選びのコツやおすすめしたいペンを教えてください!

Eさん:私はご予算別に3つのボールペンをおすすめしたいです。

Eさんおすすめペン


手前から「カランダッシュ 849クラシックボールペン イエロー」/「ロメオ ROMEO No.3ボールペン レザー グレージュ」/「パイロット グランセボールペン ダークブルー」

・「849 ボールペン」(カランダッシュ)
カランダッシュの「849」や「エクリドール」はノック音が静かという点をおすすめしたいです。 お仕事をする空間ではなるべく静かな方が、上品に見えるので好ましいかなと思います。ノック式なので速記もしやすく、メモする機会が多い新入社員の方にぜひ使っていただきたいペンです。 鉛筆と同じ六角形で、デスクの上で転がりにくいのも特徴のひとつ。

好きな色で849をカスタマイズできる「カランダッシュ+me」(※店舗限定)なら、もし誰かと同じ849シリーズを持っていたとしても「私はこのカラーにしたんだ」と会話が盛り上がりそうです。


・「グランセ ボールペン」(パイロット)
パイロットは日本のメーカーなので、国内なら比較的どこでも替え芯を買えるというのが強み。替え芯の入手しやすさは、消耗が速い仕事道具において想像以上に重要事項なのです。

他のパイロット製品にはあまりないクラシカルな雰囲気のデザインが個人的に好きです。 ダークブルーの色はスーツにも合わせやすくおすすめ。リングパーツはゴールドかシルバーかで印象が大きく変わります。お好みに合わせてどうぞ。


・「ROMEO No.3 ボールペン」(ロメオ)
まず、ボディに段差がなく、持ちやすいのが個人的に好きなところ。 また、ロメオシリーズは天冠を回すことでペン先を出す機構も特徴のひとつです。 先方にご署名をいただく際など、ペン先を出してからお渡しすると思いますが、天冠を回す動作が優雅な印象を演出してくれるように思います。 マーブル模様というのも、国内ブランドのペンにはあまり見られないのではと思います。


Oさん:普段お仕事で使うペンとしてはボールペンを選ばれる方が多いと思いますが、私はあえて万年筆をおすすめしたいです!
万年筆は力を入れずにサラサラ書けたり、インクの味わいでいつもよりも上手に書けたような気がしたりと、書くことが楽しくなると思います。 ボールペンも1本持った上で、普段のメモや日記に使う万年筆があっても楽しいのではないでしょうか。

Oさんおすすめペン

手前から「ウォーターマン エキスパートボールペン メタリックブラックRT」/「パイロット カスタムヘリテイジ912万年筆 ブラック」

・「カスタムヘリテイジ912 万年筆」(パイロット)
おすすめの理由は、男女問わず持ちやすいボディの太さ。ペン先はFM(中細字)が個人的にすごくおすすめです。 細かく書きたいという方も大きな字を書きたいという方も、細過ぎず太過ぎず、いろんな用途に合わせて書けると思います。

ヘリテイジはカラーバリエーションこそ少なめですが、シンプルなブラック&シルバーは新社会人でも持ちやすいカラー。 万年筆らしいデザインですし、お仕事の場にもおすすめです。銀座 伊東屋 本店の筆記具売場で勤務する中で、たくさんの万年筆を試した中で、やっぱり書きやすいなと個人的に実感した1本です。


・「エキスパート ボールペン」(ウォーターマン)
新入社員となると色やデザインが派手すぎるものは少し選びにくいかもしれませんが、それでも書いていてわくわくするペンを使いたいもの。
「エキスパート メタリックブラックRT ボールペン」は一見落ち着いたブラックのペンでありながらも、メタリックなブラックのクリップや、よく見ると真っ黒ではない色彩のボディがさりげなくお洒落な一本。 他のシンプルなペンと差をつけられます。エキスパートのボールペンは手の大きさを問わず、握っていてしっくりとくる形状なので、長時間書いていても疲れにくいのが特徴です。


Sさん:私はボールペン・万年筆・多機能ペンをセットでおすすめします。この3つが揃えば社会人としてよりスマートだと思います。 スタート出費として、3つでトータル2万円ぐらいの予算で購入できるものを選んでみました。

Sさんおすすめペン

左から「ロメオ ROMEO No.3ボールペン細軸 イタリアンブルー」/「パイロット 3+1リッジピンクゴールド パールホワイト」/「ラミー サファリ万年筆 限定色クリーム」


・「ROMEO No.3 ボールペン 細軸」(ロメオ)
ロメオNo.3は機能・デザインの総合的なバランスがいいところが魅力。 最初の書き出しでインクの掠れ・漏れがないところが特におすすめです。ゲルインク(※初期搭載)だとインクが出過ぎるという方は、イージーフローインク(※別売)もお試しいただきたいです。

細軸のボールペンであれば、スーツの胸ポケットに挿しても生地が膨らんだりよれたりしにくく、スマートに携帯できます。 カラーはイタリアンブルーがおすすめです!ほのかにきらめくマーブル模様も、軽い印象になりすぎないちょうどよいお洒落感です。


・「3+1リッジ」(パイロット)
多色ボールペンもシャープペンシルも、どこかで何かしら使えるものばかりなので、多機能ペンはお仕事で持っていたらまず便利なアイテムです!
お客様やお相手にお渡しして書いていただくようなものではないですが、自分が使っているときに見られても素敵なもの、かつ性能がいいものとして選ぶなら「3 + 1リッジ」。

アクロインキはなめらかに書きたい方におすすめです。こちらのホワイトは手元が華やかに、指が綺麗に見えるので、個人的には女性が持っていたら素敵だなと思います。


・「サファリ 万年筆」(ラミー)
仕事において、万年筆は手紙やお詫び状などを書く時に使うことも。たとえ新社会人1年目では使うことが少なくても、今から少しずつ書くことに慣れておき、いざというときのために準備しておくのをおすすめします。
万年筆は2万円前後からラインナップに14金製のペン先が加わって選択肢が増えるのですが、新社会人の方が初めて使う万年筆に2万円も出すのはハードルが高いかなと思ったので、サファリを選びました。

理由は、サファリ万年筆が様々な筆記速度や書き癖にある程度対応できるという点です。 字幅やボディのカラーバリエーションも多く、お好きなカラーを選んでいただきたいです。やはりホワイト系は手を美しく見せてくれるのでおすすめです。 例えば、この「限定色 クリーム」という色は単色ボディーでも、カジュアルすぎない印象だと思います。


Yさん:私は初めて高級筆記具を購入するなら、こちらをおすすめしたいです。

Yさんおすすめペン

左から「パイロット グランセボールペン スズラン」/「カランダッシュ エクリドールボールペン シェブロン」/「ラミー ラミー2000 4色ボールペン」


・「グランセ ボールペン」(パイロット)
パイロットの「アクロインキ」はかすれが無くしっかり色が出て、書き心地もなめらか。 「回転繰出し式」(ボディをツイストしてペン先の芯を出す方式)のため、高級感があり、お仕事で使いやすいと思います。5000円という比較的お手頃な価格なのも嬉しいです。


・「エクリドール ボールペン」(カランダッシュ)
もう少し背伸びするならエクリドール。エクリドールはすべてのパーツが金属で統一され、とても高級感があります。 持っているだけで視線が手元にいくので、接客業・営業職の方など手元を見られることが多い方が持っていたらかっこいいなと思います。スーツの胸ポケットからちらりと見えるのもおしゃれです。


・「ラミー 2000 4色ボールペン」(ラミー)
「ラミー 2000」は、私も新社会人になった友人に就職祝いで実際にプレゼントしました。
仕事でも黒以外の色のペンを使う場面は意外と多いと思います。回転式の多機能ペンは出したい色がすぐ出てこなかったり、人前でカチカチ操作するのに気が引けてしまうことも…。 ラミー2000は「振り子式」なので、目的の色をすぐ出せてとてもスマート。スタイリッシュなデザインで、仕事服がスーツではない方でも持ちやすいのではないでしょうか。


Wさん:私は、新社会人や若手社員の方がビジネススーツに合わせやすいシンプルなデザインのペンを紹介したいと思います。

Wさんおすすめペン

左から「パーカー ソネットボールペン ラックブラックCT」/「ウォーターマン メトロポリタンエッセンシャルボールペン ホワイトCT」


・「ソネット ボールペン」(パーカー)
パーカーといえば筆記具に少しでも詳しい方ならピンと来る有名なブランド。 ソネットはザ・高級筆記具といいますか、シンプルですがキラッとした感じが個人的にも好きです。 クリップは「矢羽」がモチーフになっていて、”前に進んでいく”といった素敵なメッセージも込められています。


・「メトロポリタン ボールペン」(ウォーターマン)
メトロポリタンは細身のペンなので、さまざまな場所に持ち運びやすいです。黒だと定番すぎるかな…と思うときには「白」もおすすめです。 白はきちんと感があって、若手社員には大切なフレッシュな印象を演出できます。

メトロポリタンの天冠の部分は斜めのカットが施されていて、全てシルバー仕上げでツルっとしているのが綺麗です。他のウォーターマンの筆記具には見られないデザインです。 ペンのボディには段差がなくスマート。お洒落なフォルムだと思います。


本数は指定せず「おすすめのペンを」とお願いしたところ、それぞれ思った以上にたくさんのペンを挙げ、熱量を持って紹介してくれました。
具体的にどのような基準で皆さんがペンを選ぶようになったかが窺えたように思います。

おわりに


2年目社員によるおすすめペンの紹介、いかがでしたか?

つい先日まで新入社員だったからこそ、そして日々筆記具売り場の現場に立っているからこその体験談に、若手社員や新社会人の方に必要な1本のヒントが詰まっていたように思います。
紹介するペンはみなさんそれぞれの個性が感じられました。 しかし、シチュエーションを想像していたり、お客様の視点に立っておすすめしていたりという点は共通しているように思います。まだ2年目ではありますが、1年間でたくさんのことを吸収したようです。

素敵なペンは仕事のモチベーションを上げてくれるもの。
新社会人になるにあたってペン選びに迷われている方、また若手社員や新社会人の方にプレゼントを贈られる方にとって、こちらの記事が少しでも参考になれば幸いです。