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株式会社 伊東屋

代表取締役 社長

伊藤 明


この度は伊東屋に興味を持ってくださりありがとうございます。


伊東屋という会社はとてもユニークな会社だと思っています。小売店で、自社開発メーカーで、海外からの直輸入があって、海外で事業展開している。働いている人や私の先代、先々代の経営者たちを見ても、皆好奇心が旺盛で「楽しいことをちゃんとやりたい」という気質に溢れています。


デザインから学んだこと


私は小学校5年生の時に初めて行ったアメリカで、真っ赤なスポーツカーをすごく格好いいなと思ったのがきっかけで、日本の大学の在学中と卒業後、アメリカでカーデザインを学んでいました。その後、使う人や機能を考え、その上メカニズムまでを考えるプロダクトデザインのほうが自分のやりたいことだと分かり、専攻をプロダクトデザインに変えました。


留学途中にスイスに一年間移ったのですが、アメリカとヨーロッパでデザインの考え方に大きな違いがあることを知りました。アメリカではデザインをすると、それがどんな素材を使っていても、どういう作り方でも、最後に一つのモノとしてまとまっているということが大事。ヨーロッパでは使われる年数に合わせてモノを分けて考え、木なら木らしく、金属なら金属らしくを大事にデザインすると学びました。素材を大事にするところがどこか日本料理っぽくて、自分には合うなと思いました。


私たちの伊東屋オリジナルブランドのデザインにおいても、その考えを根幹にもって開発にあたっています。

アメリカの学校を卒業した時、日本では丁度バブルが弾け、当時社長をやっていた叔父に呼び戻され、日本の伊東屋に帰ってきました。その時に会社の中を見たら、商品はたくさんある。お客様もたくさんいらっしゃる。だけど、他にみたことのないワクワクはどこにもなかった。社員は上からの指示待ちで、新しい世の中の次を見るということをしていないと感じました。

ちょうど当時コンビニエンスストアができ始めていて、世の中でバーコードをピッと読むというレジのやり方に変わってきていたので、会社に部署を作ってもらい、システム開発に取り組みました。


好奇心旺盛だった創業者・伊藤勝太郎


伊東屋を作ったのは曽祖父の伊藤勝太郎という人で、彼のお母さんは着物を着ていた時代に婦人用の洋服屋さんを銀座の端でやっていました。伊東屋の中にずっとある、美しいものが好きというDNAはここから来ているのだと思います。

文房具を扱う店といえば筆とか硯だった時代に、文房具を通じて西洋風の効率的な仕事の仕方、すなわち未来の日本を感じ、それをできるだけ多くの人々に伝えたいと銀座に店を出しました。そうしてできた伊東屋で、お客様は見たこともなかった「文房具」というモノに触れ、気持ちのいい体験をして帰っていかれたのではないかなと思います。

また当時は国を作るための海外視察はありましたが、観光旅行に行くというのはまだなかった。勝太郎は観光目的で初めて企画された世界旅行に参加しました。好奇心がとても旺盛だったんですね。目の前に見えるコトやモノから新しい可能性を見出す、それは今もずっと持ち続けている伊東屋の姿勢です。


『伊東屋らしい』の追求


今の銀座 伊東屋は2015年に建て替えをして、リニューアルをしました。

建て替えることになった時に、今までご支持をいただいていたお客様が、新しい伊東屋を見て「建物は新しくなったのになにも変わっていないんじゃない?」とか反対に「こんなの伊東屋じゃない!」といって離れてしまうのではないかという不安がありました。


そこで『お客様は伊東屋に何を期待しているのだろう?』『伊東屋ってどんなところなのだろう?』というのをきちんと一回見直そうと、社員をはじめ、お客様、メーカー様、ビルを建てる時のコンサルティングをしてくれた会社の方など、たくさんの方にご協力をいただき、声を聞かせていただきました。


それをずっと聞いていくと、ここを外さなければ、次の伊東屋をやっていける、と明確な価値基準が見えてきました。それを『伊東屋らしさ』として冊子にまとめて、新しい店を作っていったのです。

その中身を少しお話ししたいと思います。


Itoya’s mission


『クリエイティブな時をより美しく、心地よく』


文房具屋さんとはこうあるべきだ、ではなく『伊東屋はこうあるべきだ』にするために、まず伊東屋の存在意義が何かというところから考えました。
我々がサポートしたいのはクリエイティブな仕事をしている人、前向きに仕事をしている人にしたい、というのがまず決まって、伊東屋にはずっと”美しいものが好き”というDNAがあったので、商品も売場も綺麗なものにしたい。人々が働いているとき、一番時間を費やす環境が美しくあって欲しい、という思いから、『クリエイティブな時をより美しく』それで、美しいだけじゃなく、気持ちよく仕事をしたいので『心地よく』という風にしました。


Itoya’s value

- 私たちが大切にしたい価値観 -


1.新しいことやものの発見

お客様にはお店に来た時にワクワクしてほしいんです。伊東屋に来ると珍しいものがあるよね、新しいものがあるよねというのも勿論なんですけれども、『これを使ったらこういうことができそう』とお客様ご自身が発見してワクワクしてもらうことが必要だと思ったのです。
伊東屋がお客様との関係を作るためには、お客様が自分の中で感じてくれるものが大事で、そういうことができるところにしたい、それが伊東屋にとっては大事な価値だと考えています。

2.ずっと使い続けられる

私が育った頃は消費が一番大事で、新しいものをどんどん買ってどんどん使おうっていう時代でしたけれども、今世界で一番大事なことは環境問題だと思います。そうなると、買ったらずっと使い続けられるというのはすごく大事なことで、ずっと使い続けるためには、まずそのものが壊れてはいけない。壊れないようにしたい。壊れてしまったら直せるものにしたい、というのがあります。
また、素敵なものだったらずっと大切にしたいと思うから、ずっと使い続けられて、それが本当に良いものだったら自分の子供や孫にも引き継いでいきたいと思う。そういうことが大事だなと思っています。もちろん、デジタルデバイスもとても便利ですが、今のデバイスを自分の子供が使ってくれるかというとそれは無い。
伊東屋は、時代時代で変わっていくものではなくて、時代を繋いでいくものを大切にしたいと思っています。

3.人との関係を大切にする

やはり、人が一番大事だと思います。仕事をする、商売をする、やはり信用だと思うのです。上下関係で考えず、すべての人に自分と同じくらい、大切なことや考えがあるということを理解していけば、年が上の人であっても、下の人であっても、大事に接し尊重することができると思うのです。
また人が成長するには、自分の考えを述べ、他者の考えに耳を傾け、それを受け入れることが大切です。コミュニケーションを通じてお互いを高めあえる関係を、伊東屋はすべての人々と築いていきたいと考えています。

Itoya’s vision

- 伊東屋の目指す世界 -


『毎日来ても心地よく、笑顔になれて、新しいインスピレーションを得られる店』


お客様が毎日来ても、"ここに来てよかった""楽しかった"と、自分を歓迎されている気持ちがする。感動して涙が出るのではなくて、ちょっとニッコリできるようなところを作りたい、そういう店を創ろうというのが我々の目指すところです。

通販でものがいっぱい買えるようになると、どこでも買えるものを、わざわざどこかに買いに行きません。「これが欲しい」と決まっていたら、一番安く買えるところ、一番楽に買えるところに当然行きます。それはモノを目指しているからです。伊東屋は、モノだけではなく、見たこともないコトとの出会いをできる場でありたいのです。それは聴こえてくる音楽であったり、人との出会いであったり、ワークショップでの体験などによって、遊園地に行く時のような特別な気持ちになる店です。


伊東屋に来ることで、自分らしさを保ちながら今まで気づかなかった気持ちや可能性に出会える。気持ちが切り替わり、新しい一歩を踏み出すきっかけが見つかる。そういう時間と空間を創ることを皆で真剣に考え、チャレンジを続けて、伊東屋を伸ばしていきたいと思っています。